1.議論に勝つ唯一の方法として、議論をさける。
・議論はほとんど例外無く、双方に自説をますます正しいと確信させて終わるものだ。
議論に勝つことは不可能だ。たとえ勝ったにしてもやはり負けている。相手は劣等感を持ち、自尊心を傷付けられ、憤慨するだろう。・・・議論に負けてもその人の意志は変わらない。
・意見の不一致を歓迎せよ。いつも意見が一致するなら、そのうち一人はいなくてもいい人間だ。思い及ばなかった点を指摘してくれる人がいたら感謝しなければいけない。
・最初に頭をもたげる自己防衛本能に押し流されてはいけない。・・・不快な状況の時、まず現れてくるのは、自分の立場を守ろうとする本能だ。
冷静に構え、最初の反応を警戒する必要がある。あなたの最悪の人柄が突出し、最善の人柄がかくれてしまうかも知れないのだ。
・腹を立ててはいけない・・・何に腹を立てるか、それ次第で人間の大きさが決まってくる。
・まず相手のことばに耳を傾けよ・・・相手に意見を述べさせ最後まで聞く。
逆らったり、自己弁護したり、争論したりすれば、相手との間に障壁が高まるばかりだ。
相互理解の橋を架ける努力こそ大切で、誤解の障壁をかさ上げするなど、愚の骨頂である。
・意見が一致する点を探せ・・・相手の主張を聞き終わったら、まず賛成できる点を取り上げる。
・率直であれ・・・自分が間違っていると思う点を探し、率直にそれを認めてあやまる。それで相手の武装が解け、防衛の姿勢がゆるむ。
・相手が反対するのは関心があるからで、多いに感謝すべきだ。
だから、相手はあなたの手助けをしたいと願っているのだと考えよ。
そうすれば論敵を味方に変えることができる。
・早まった行動を避け、双方がじっくり考え直す時間を置け。
2.相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
・人に物を教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ。(ガリレオ)
・相手が間違っていると思った時の切り出しの言葉は「おそらく私の間違いでしょう。わたしはよく間違えます。ひとつ事実を良く考えてみましょう。」 これで議論が収まり、相手も寛大で公正な態度をとりたいと思うようになり、自分も間違っているかもしれないと反省する。
・われわれは、真実を思い慣れてきたものを、いつまでも信じていたいのだ。
その信念をゆるがすようなものが現れれば、憤慨する。
そして、何とか口実を見つけ出して元の信念にしがみつこうとする。
結局、われわれのいわゆる論議は、大抵の場合、自分の信念に固執するための論議を見出す努力に終始することになる。
・決定的な意見を意味する“確かに”“疑いもなく”という言葉は一切つかわず、「自分としてはこう思うのだが・・・」「わたしにはそう思えるのだが・・・」と言うことにした。(ベンジャミン・フランクリン)
3.自分の誤りをただちにこころよく認める。
・自分が悪いと思ったら、相手にやっつけられる前に自分で自分をやっつけておいた方がはるかに愉快ではないか。相手の言うことを自分で言って
しまうのだ。そうすれば相手は言うことが無くなり、寛容になり、こちらの誤りを許す態度に出るだろう。
4.おだやかに話す。
・人を無理に自分の意見に従わせることはできない。しかし、優しい打ち解けた態度で話し合えば、相手の心を変えることができる。
5.イエスと答えられる問題を選ぶ。
・意見の異なる問題を初めに取り上げてはならない。まず意見が一致しているイエスといわせるような問題から始め、それを絶えず強調しながら話をすすめる。互いに同一の目標に向かって努力しているのだということを、相手に理解させるようにし、違いはその方法だけだと強調するのである。
6.相手にしゃべらせる
・相手のことは、相手が一番良く知っている。だからしゃべらすのだ。相手が言いたいことをまだ持っている限り、こちらが何を言っても無駄だ。大きな気持ちで辛抱強く、しかも、誠意を持って聞いてやる。そして心おきなくしゃべらせてやるのだ。
・敵を作りたければ、友に勝つがいい。味方を作りたければ、友に勝たせるがいい。(ラ・ロシュフーコー)
7.相手に思いつかせる。
・人から押し付けられる意見よりも、自分で思い付いた意見のほうを我々は、はるかに大切にするものである。人に自分の意見を押し付けようとするのは、そもそも間違いだともいえる。暗示を与えて結論は相手に出させる方が、よほど利口だ。
8.人の身になる。
・自分の意見を述べるだけでなく、相手の意見を尊重するところから、話し合いの道が開ける。まず、話し合いの目的、方向をハッキリさせて、相手の身になって話を進め、相手の意見を受け入れていけば、こちらの意見も相手は受け入れる。(J・S・ニーレンバーグ)
9.相手の考えや希望に対して同情を持つ。
・口論や悪感情を消滅させ、相手に善意を持たせて、あなたのいうことを、おとなしく聞かせる魔法の言葉――――「あなたがそう思うのはもっともです。もしわたしがあなただったらやはり、そう思うでしょう。」
・われわれが交渉をもつ相手の4分の3は、みな同情に飢えている。それを与えてやるのだ。
10.人の美しい心情に呼びかける。
・相手の信用状態が不明な時は、彼を立派な紳士と見なし、そのつもりで取り引きを進めると間違いが無いとわたしは経験で知っている。
要するに、人間は誰でも正直で、義務を果たしたいと思っているのだ。
これに対する例外は、比較的少ない。人をごまかすような人間でも、相手に心から信頼され、正直で公正な人間として扱われると、なかなか不正なことはできないものなのだ。(トマス)
11.演出を考える。
・現代は演出の時代である。単に事実を述べるだけでは十分ではない。事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。
12.対抗意識を刺激する。
・成功者はみなゲームが好きだ。自己表現の機会が与えられるからだ。
存分に腕をふるって相手に打ち勝つ機会、これが、いろいろな競争や競技を成立させる。優位を占めたい欲求、重要感を得たい願望、これを刺激するのだ。